HAPPINESS IS SUBMISSION TO GODZILLA

マイケル・ホー
2020年9月17日 – 9月26日

TOKYO INTERNATIONAL GALLERY(TIG)では、10月のグランドオープンに先駆け
新進気鋭のアーティスト、マイケル・ホーによる日本初個展
“Happiness is Submission to Godzilla”を開催いたします。

ホーはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)芸術学部で学び、2018年に最優等賞であるラテン・オーナーズを取得。卒業後、活動拠点を東京に移し、視覚意味論と疑似教訓主義に焦点を当てた絵画や彫刻にアメリカのポップカルチャーを取り入れ、見る者との間に活発な対話が生じるような、より複雑な絵画の可能性を追求してきました。今回初公開となる彼の新作では”ギャラリー”という非日常空間の再定義・可能性の模索からはじまり、“作品”と“鑑賞者”といった枠組みの中で生じる”見る・見られる”という関係性や“理解する”という行為そのものを疑い、二者の間に生じる“対話”の繰り替えしを誘発します。「あなたは作品を理解しようとする。けれども理解できないと分かった瞬間、初めて対話が生まれるのです」

ギャラリーとは“空虚”そのものであり仮想空間を創りだす小宇宙だ。
本展ではこの小宇宙が触媒となり意識と無意識、実在と錯覚、鑑賞者と作品との間に生まれる関係性に疑問符を投げかける。白い空間で自ずと向き合うことになる等身大のスクエアのキャンバスは文字列やシンボル、透視図法による図面とポップな蛍光色の融合が不可解な調和を生み、宇宙的、ポップカルチャー的、産業的、社会的、政治的、技術的、さまざまな暗示が交錯することで鑑賞者が作品を“理解”することを阻む。

一際目を引く幾何学形態を構成する立体作品の一面は空間のコンクリート(床面)の一角を覆い、床面の一部を占有する存在という意味で鑑賞者もまた立体作品と同等であり、外面に「HELP ME」というラベルの貼られた構造体の隙間は構造体の内部から空間を監視する何者かの存在を示唆するとともに空間における鑑賞者と芸術作品(鑑賞物)という関係性を逆転させる。

本展において芸術作品と鑑賞者はギャラリーという触媒を通じて“対”に存在する実在でありながら決して交わることはない”他者”として言葉を介さず対話を往復する。何者かによって定義される概念そのものへの”理解”という名の服従は一時の”幸福“であるのかもしれないが、果たしてそうだろうか?

白い空間で、ホーの作品は何も語ろうとはしない。
あるのはただ問いと対話だけだ。
あなたは何者なのか。あなたにとっての”真実”とは何を意味するのだろうか。

アーティスト・ステートメント

「Happiness is Submission to Godzilla」では、3D幾何学的な図形に対する生来の理解と経験が、それが存在するギャラリー空間の幾何学的な形態と空虚さに類似している。一枚岩の多面体は、それ自身の現実の平面の空隙を埋めているし、鑑賞者自身と一緒にギャラリーの床のコンクリート面に文字通り存在する一枚岩でもある。鑑賞者が幾何学的な錯覚と幾何学的なリアリズムの間で揺れ動くことで、それぞれの作品の機能の可読性が曖昧になっている。宇宙的、ポップカルチャー的、産業的、社会的、政治的、技術的な暗示のすべてが、理解できない形而上学的な導管に集約され、鑑賞者が作品に抱いている解決策を否定している。「Happiness is Submission to Godzilla」は、鑑賞者がこの同意を意識しているかどうかに関わらず、参加型のゲームとして、また作品とのコミュニケーションのための手段として、確認バイアスを促進します。

>マイケル・ホー